【力学】積分で三角形の重心を求めてみた!!【公式の証明もあり】

物理

今回は積分を使って三角形の重心を求めていきたいと思います。

図形の重心は

$$
x_G = \frac{\int_S x ds}{S}\\
y_G = \frac{\int_S y ds}{S} \tag{1} \\
$$

で表されます。

(「【力学】半円板の重心と慣性モーメントを求めてみた」でも使いました。)

これを使うことでどのような図形の重心も柔軟に求めることができます。

具体例をやった後、この公式の証明を行いたいと思います。

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力学の参考書

今回は

で紹介されている方法を参考にしました。

他にも「【難関大学院向け】院試で役に立った数学・物理の参考書」では院試の際には本当に助けられたえりすぐりの院試参考書をまとめてみたので、興味があればぜひ。

図形の重心

正三角形の重心

では正三角形の重心を求めてみましょう。

次のような正三角形を考えます。

そしてこの三角形の\(x\)方向の重心\(x_G\)は

$$
x_G = \frac{a}{2}
$$

にあることは図からわかります。

では、\(y\)軸方向の重心\(y_G\)を少し計算して求めてみましょう。

微小面積

(1)の重心を求める公式から

$$
y_G = \frac{\int_S y ds}{S}
$$

で求まります。

では、分子の積分を行っていきます。

まず、微小面積\(ds\)を求めます。

図の細長い面積に注目しましょう。この面積の大きさ\(ds\)は

$$
ds = x\times dy\tag{3}
$$

となっています。

また、\(x\)の値は三角形の相似から、

$$
h : a = (h-y) : x
$$

となるので

$$
\begin{eqnarray}
x &=& \frac{a(h-y)}{h}\\
&=& \frac{a( \frac{\sqrt{3}a}{2} -y)}{\frac{\sqrt{3}a}{2}}\\
&=& \frac{3a-2\sqrt{3}y}{3}
\end{eqnarray}\tag{4}
$$

となります。

(4)を(3)に代入すると

$$
ds = \frac{3a-2\sqrt{3}y}{3} dy\tag{5}
$$

となります。

最後に\(y\)をかけて積分してあげると

$$
\int_{0}^{\frac{\sqrt{3}a}{2}} y\frac{3a-2\sqrt{3}y}{3} dy = \frac{1}{8}a^3 \tag{6}
$$

となります。

また、この三角形の面積\(S\)は

$$
\begin{eqnarray}
S &=& a\times \underbrace{\frac{\sqrt{3}a}{2}}_{h}\times\frac{1}{2}\\
&=& \frac{\sqrt{3}a^2}{4}\tag{7}
\end{eqnarray}
$$

とるので(6),(7)式を重心の公式に代入してあげると

$$
y_G = \frac{ \frac{1}{8}a^3 }{ \frac{\sqrt{3}a^2}{4} } = \frac{\sqrt{3}a}{6}
$$

となります。

よってこの三角形の重心は

$$
\begin{cases}
x_G = \frac{a}{2}\\
y_G = \frac{\sqrt{3}a}{6}
\end{cases}
$$

この方法なら、何も正三角形でなくてもよくてどんな三角形でも重心を求めることができます。

証明

なぜこのような公式で重心が求まるのかを解説していこうと思います。

まず、(高校の物理でやったかと思われる)重心の公式

$$
\begin{eqnarray}
x_G &=& \frac{m_1x_1 + m_2x_2 + \cdots + m_Nx_N}{m_1 + m_2 + \cdots + m_N}\\
&=& \frac{\sum_{i =1}^{N}m_ix_i}{M} (Mは図形全体の質量)
\end{eqnarray}
$$

を思い出してもらえるといいと思います。

これは重心を求めたい物体を\(N\)個に分割して重心を求めているわけですが、分割の個数を\(N\to \infty\)の極限で考えると(つまり\(\infty\)個に物体を分割すると)

$$
x_G = \frac{\int x dm}{M}\tag{8}
$$

と積分でかけます。

ここでさらに\(dm\)は

$$
dm = \sigma ds (\sigma は面密度、dsは微小面積)\tag{9}
$$

と書けるので、(9)を(8)に代入すると

$$
\begin{eqnarray}
x_G &=& \frac{\int x dm}{M} \\
&=& \frac{\int x \sigma ds }{M} \\
&=& \frac{\int x ds }{S} (M = \sigma S)
\end{eqnarray}
$$

となります。

よって重心の公式は

$$
x_G = \frac{\int_S x ds}{S}\\
y_G = \frac{\int_S y ds}{S} \\
$$

となることが証明できました!!

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参考

積分による重心位置の求め方 : わすれなぐさ
ここでは、重積分を使って物体の重心位置を求める方法を解説します。また、例として扇形や半円板の面積の求め方も記載しています。 総和による重心位置の計算 積分を使う前に、まずは総和によって重心位置を求める方法を考えてみます。 質量 \(m_i\)、重心位置 \((x_i, y
重心を計算して求める(5)
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