今回は「導体表面における静電力」について解説したいと思います。
導体表面に電荷があらわれているとき、そこには静電力が働いています。
結果からいうとその力の大きさは
$$
f = \frac{1}{2}\frac{\sigma^2}{\epsilon_0} (\sigma は面密度)
$$
となります。
ではこれを証明していきましょう。
導体表面における静電力
導体の表面に面密度\(\sigma\)で電荷が分布していて、導体の内部厚さ\(d\)の領域に一様な密度\(\rho = \frac{\sigma}{d}\)で分布しているとします。
「導体の中には電荷が入りこめない」ので不思議な感じがしますが、力は厚さ\(d\)に依存しないことが分かるので、最終的に\(d = 0\)とすればよいと考えます。
現実の導体においても、電荷は表面から\(10^{-10}m\)程度の厚みで分布しているので\(d\)もその程度の厚みと考えてもらってもいいと思います。

電荷が分布している領域での電場
ではまず、表面(\(x = 0\))から\(x = x (< d)\)の距離における電場を求めてみましょう。
\(x = 0\)をまたぐようにして底面積\(dS\),高さ\(2x\)の円柱の領域を考えると
\(E(x)\)を領域\(d\)内での電場、\(E\) を \(x<0\) のでの電場とするとガウスの法則から
$$
\int {\bf E \cdot dS} = \frac{\rho x dS}{\epsilon_0}
$$
$$
E(x) + E = \frac{\rho x}{\epsilon_0}\tag{1}
$$
となります。
ここで\(x=d\)での境界条件
$$
E(d) = 0\tag{2}
$$
を課すと(1)式より\(E\)は
$$
E = \frac{\rho d}{\epsilon_0} \tag{3}
$$
となります。
よって、(1),(3)式から導体内部の厚さ\(d\)領域において
$$
E(x) = \frac{\rho x}{\epsilon_0} -\frac{\rho d}{\epsilon_0}\tag{4}
$$
となります。
表面に作用する力
導体外向きを正とすると、導体表面に作用する力は
$$
f = -\int_{0}^{d} \rho E(x) dx\tag{5}
$$
で与えられます。
よってこれに(4)式を代入すると
\begin{eqnarray}
f &=& -\int_{0}^{d} \rho E(x) dx \\
&=& -\int_{0}^{d} \rho \left( \frac{\rho x}{\epsilon_0} -\frac{\rho d}{\epsilon_0}\right) dx\\
&=& -\frac{1}{2} \frac{\rho^2}{\epsilon_0}d^2 + \frac{\rho^2}{\epsilon_0} d^2 \\
&=& \frac{1}{2}\frac{\sigma^2}{\epsilon_0}
\end{eqnarray}
となります。
これは電荷の存在する領域の厚さ\(d\)に依存していないので、電荷が表面のみ(\(d = 0\)) に分布している場合でもこの式が成り立つことが分かります。