【量子力学】ルジャンドルの陪多項式と球面調和関数

物理

今回はルジャンドルの陪多項式と球面調和関数を導出したいと思います。

ルジャンドルの陪多項式は前回導出したルジャンドル多項式の一般形にあたるものです。

球面調和関数は三次元のシュレディンガー方程式の固有関数を書く上で必須の関数です。

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証明

ルジャンドルの微分方程式の\(m\)階微分

前々回導出したルジャンドルの微分方程式

$$
(1-z^2)\frac{d^2P}{dz^2}-2z\frac{dP}{dz}+l(l+1)P\tag{1}
$$

を\(m\)階微分します。一気に微分するとわかりにくくなるので項を分けて微分していきます。

第一項

(1)式の第一項は

$$
\frac{d^m}{dz^m}\left[ (1-z^2)\frac{d^2P}{dz^2} \right]
$$
$$
= (1-z^2)\frac{d^{m+2}}{dz^{m+2}}P-2mz\frac{d^{m+1}}{dz^{m+1}}P-(m-1)m\frac{d^m}{dz^m}P\tag{2}
$$

が成り立ちます。(試しに\(m = 1,2\)を代入すると成り立っていることが分かります。帰納法でも証明できます。)

第二項

(1)式の第二項は

$$
\frac{d^m}{dz^m}\left(-2z\frac{dP}{dz}\right)=-2m\frac{d^m P}{dz^m}-2z\frac{d^{m+1}P}{dz^{m+1}}\tag{3}
$$

となります。

代入

(2),(3)を(1)式へ代入して整理すると、

$$
(1-z^2)\frac{d^{m+2}P}{dz^{m+2}} -2z(1 +m)\frac{d^{m+1}P}{dz^{m+1}}+[l(l+1)-m(m+1)]\frac{d^m P}{dz^m}=0\tag{4}
$$

となります。

\(\frac{d^mP}{dz^m}\)を置き換える

$$
\frac{d^mP}{dz^m} = (1-z^2)^\rho\xi(z)\tag{5}
$$

と置き換えます。

これを一回微分すると、

$$
\frac{d^{m+1}P}{dz^{m+1}} = -2\rho z(1-z^2)^{\rho-1}\xi +(1-z^2)^\rho\xi’\tag{6}
$$

二回微分すると

$$
\frac{d^{m+2}P}{dz^{m+2}}=[-2\rho(1-z^2)^{\rho-1}+4\rho(\rho-1)z^2(1-z^2)^{\rho-2}]\xi-4\rho z(1-z^2)^{\rho-1}\xi’+(1-z^2)^{\rho}\xi” \tag{7}
$$

となります。

(4)式の書き換え

(4)式に(5),(6),(7)式を代入すると、

$$
(1-z^2)\xi”-\{4\rho z + 2(m+1)z\}(1-z^2)^\rho\xi’+[-2\rho(1-z^2)^\rho\\
+4\rho(\rho-1)z^2(1-z^2)^{\rho-1}+4(m+1)\rho z^2(1-z^2)^{\rho-1}\\
+\{l(l+1)-m(m+1)(1-z^2)^\rho\}]\xi = 0
$$

ここで、\(\rho = -\frac{m}{2}\)と置いて、両辺を\((1-z^2)^{ -\frac{m}{2} }\)で割ると、

$$
(1-z^2)\xi”-2z\xi’+\{l(l+1)-\frac{m^2}{1-z^2}\}\xi = 0
$$

となります。

ルジャンドルの陪微分方程式と比較

ここで、ルジャンドルの陪微分方程式

$$
(1-z^2)\frac{d^2P^m_{l}}{dz^2}-2z\frac{dP^{m}_{l}}{dz}+\{l(l+1)-\frac{m^2}{1-z^2}\}P^{m}_{l} = 0 \tag{8}
$$

と比較すると

$$
P^{m}_{l} = \xi = (1-z^2)^{\frac{m}{2}}\frac{d^m P}{dz^m} \tag{9}
$$

は(8)式を満たす。\( P^{m}_{l} \)をルジャンドル陪多項式と呼びます。

球面調和関数

$$
\Theta_{lm}(\theta) = P^{m}_{l}(z)
$$

として

\(\Phi_{m}(\phi) = e^{im\phi}\)との積を規格化した関数

$$
\begin{eqnarray}
Y_{lm}(\theta,\phi) &=& \Theta_{lm}(\theta) \Phi_{m}(\phi) \\
&=& \sqrt{\frac{2l+1}{4\pi}\frac{(l-|m|)!}{(l+|m|)!}}P^{m}_{l}(\cos\theta)e^{im\phi}
\end{eqnarray}
$$

球面調和関数と呼ばれます。

よって三次元のシュレディンガー方程式の固有関数は

$$
\psi(r,\theta,\phi) = R(r)Y_{lm}(\theta,\phi)
$$

とかけます。

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