【例題】留数を解説してみた

物理

こんにちは

今回は留数の問題を解いていきたいと思います。

僕自身、始めに留数を習ったときよくわからないなぁという印象でした。

しかし、実際に問題を解いていくと、もやが晴れたようによく理解できたことを覚えています。

物理数学は抽象的で何のことかよくわからないことが往々にしてあるのですが、

(僕だけ?…いやいや難しいですよね…?)

問題を解きながら勉強することで理解できるようになると思います。

ではさっそくいきましょう!

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留数とは

まず、問題を解く前に留数についてさらっと復習しましょう。

留数とは関数をローラン展開した時にでてくる-1次の項の係数のことです。

例えば\(\frac{a}{z}\)だったら留数は\(a\)で、\(\frac{a-b}{z-z0}\)だったら\(a-b\)が留数という具合です。

ローラン展開ができれば簡単ですね。

留数を求める公式

このようにローラン展開で求める方法はたしかに有効ですが、もしローラン展開が面倒な関数だったりしたら嫌ですよね。

そんなときのために留数を求める公式があります。

関数\(f(z)\)の留数は\(z=z_0\)を特異点とすると、

$$ Res(z_0) = \frac{1}{m-1!}\lim_{z \to z_0}\frac{ \mathrm{d}^{m-1}}{ \mathrm{d}z^{m-1}}(z-z_0)^mf(z) \tag{1}$$

これで留数を求めることができます。

これは難しいので例題をやりながら解説していきます。

ここでは留数だけならローラン展開を使わなくても導ける、ということを覚えておいてください。

例題

では例題を解いてきましょう。

第一問

Q1. $$f(z) = \frac{e^z}{z-1}$$ の留数を答えよ。

\(f(z)\)が発散してしまう点(すなわち特異点)は\(z=1\)である。

分母の\(z-1\)は1乗なのでこの特異点は一位の極である。つまり、(1)式の\(m\)は0

よって、留数は \begin{eqnarray} Res(1) &=& \frac{1}{1-1!}\lim_{z \to 1}\frac{ \mathrm{d}^{1-1}}{ \mathrm{d}z^{1-1}}(z-1)f(z)\\ &=&\lim_{z \to 1}(z-1)\frac{e^z}{z-1}\\&=&e \end{eqnarray} となる。よって留数は\(e\)。

第二問

じゃんじゃん行きましょう。

次は\(m\)が2以上のときです。

Q2.$$ f(z) = \frac{e^z}{(z-1)^2} $$ の留数を答えよ。

やはり分母を見ます。\(z=1\)が特異点ですが、2乗されているので2位の極です。(つまり\(m\)=2)

よって(1)式より留数を求めると、 \begin{eqnarray} Res(1) &=& \frac{1}{2-1!}\lim_{z \to 1}\frac{ \mathrm{d}^{2-1}}{ \mathrm{d}z^{2-1}}(z-1)^2f(z)\\&=&\lim_{z \to 1}\frac{ \mathrm{d}}{ \mathrm{d}z}(z-1)^2\frac{e^z}{(z-1)^2}\\&=&e \end{eqnarray} よって留数は\(e\)

第三問

次はロピタルの定理$$ \lim_{z \to a}\frac{f(z)}{g(z)} = \lim_{z \to a}\frac{f'(z)}{g'(z)} \tag{2} $$を使います。

Q.3 $$ f(x)=\frac{1}{e^z +1}$$ の留数を求めよ。

分母の\(e^z+1\)に注目すると、特異点は\(z=i\pi+2n\pi i\)である。これは一位の極なので\(m=1\) \(z_0=i\pi+2n\pi i\)とすると、

よって留数は \begin{eqnarray} Res(z_0) &=& \frac{1}{1-1!}\lim_{z \to z_0}\frac{ \mathrm{d}^{1-1}}{ \mathrm{d}z^{1-1}}(z-z_0)f(z)\\ &=&\lim_{z \to z_0}\frac{z-z_0}{e^z+1} \end{eqnarray} ここで(2)式から、 \begin{eqnarray} \lim_{z \to z_0}\frac{z-z_0}{e^z+1} &=& \lim_{z \to z_0}\frac{1}{e^z} \\&=& -1 \end{eqnarray}

よって留数は-1

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