【力学・院試頻出】円運動に摂動を与えたときの運動

物理

こんにちは

今回は「円運動に摂動を与えたときの運動」について解説したいと思います。

院試などでよく出てくる問題なのですが、なかなか応用的なので頑張っていきましょう。

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円運動に摂動を与えたときの運動

今回は円運動の中でも

$$
F=-\frac{m\mu}{r^k} (\mu,kは定数)
$$

という形の中心力における円運動について解説したいと思います。

運動方程式

では極座標をつかい、動径方向の運動方程式を立てます。

今回はラグランジアンを使って方程式を求めますが、「よくわからん」という人は飛ばしてもらっても構いません。(極座標での加速度の表式はどの教科書に載っているので参照してみてください。)

ラグランジアン

ラグランジアンは運動エネルギーを\(T\),ポテンシャルを\(U\)とすると

$$
L = T-U
$$

と表されます。いま、

$$
T = \frac{1}{2}m\left({\dot r}^2 + (r{\dot \theta}^2)\right)
$$

ポテンシャルは中心力が\(F=-\frac{m\mu}{r^k}\)なので

$$
U = -\frac{1}{k-1}\frac{m\mu}{r^{k-1}}
$$

なので、ラグランジアンは

$$
L = \frac{1}{2}m\left({\dot r}^2 + (r{\dot \theta}^2)\right) – \frac{1}{k-1}\frac{m\mu}{r^{k-1}}
$$

となります。

これをラグランジュ方程式

$$
\frac{d}{dt}\left(\frac{\partial L}{\partial {\dot r}}\right) – \frac{\partial L}{\partial r} = 0
$$

に代入すると

$$
m{\ddot r} – mr{\dot \theta}^2 = -\frac{m\mu}{r^k}
$$

となります。(これが動径方向の運動方程式)

また、同じくラグランジュ方程式

$$
\frac{d}{dt}\left(\frac{\partial L}{\partial {\dot \theta}}\right) – \frac{\partial L}{\partial \theta} = 0
$$

に代入すると

$$
\frac{d}{dt}\left(mr^2{\dot \theta}\right) = 0
$$

これは角度方向の運動方程式であり、よく見ると角運動量\(l = mr^2{\dot \theta}\)が時間変化していなことが分かるので、角運動量保存則を表しています。

角運動量は保存するので定数\(h\)を使って

$$
h = r^2{\dot \theta}
$$

としておきます。すると動径方向の運動方程式は\(h\)を使って

$$
m{\ddot r} – m\frac{h^2}{r^3} = -\frac{m\mu}{r^k}
$$

と書けます。

円運動

では、運動方程式

$$
\begin{cases}
m{\ddot r} – m\frac{h^2}{r^3} = -\frac{m\mu}{r^k}\\
\frac{d}{dt}\left(mh\right) = 0 (h = r^2{\dot \theta})
\end{cases}
$$

が分かったので、円運動のときどんな式になるか見ていきましょう。

円運動するときは\(r = r_0(定数)\)なので\({\ddot r}=0\)になります。

ですから動径方向の運動方程式は

$$
m\frac{h^2}{r_0^3} = \frac{m\mu}{r_0^k}
$$

よって\(h\)は

$$
h^2=\frac{\mu}{r_0^{k-3}}
$$

と書けます。

摂動を加える

ではこの円運動に動径方向の摂動を与えてみます。すると円運動の半径が\(r=r_0 + r_1\)となります。(\(r_1\)は微小量)

そしてさらにこの\(r\)を動径方向の運動方程式に代入すると

$$
{\ddot r_1} – \frac{h^2}{(r_0 + r_1)^3} = -\frac{\mu}{(r_0 + r_1)^k}
$$

となります。ここで、動径方向に摂動を加えたので角運動量は保存しています。

さらに\(\frac{h^2}{(r_0 + r_1)^3}, -\frac{\mu}{(r_0 + r_1)^k}\)を\(r_1\)の一次の項までテイラー展開すると

$$
{\ddot r_1} – \frac{h^2}{r_0^3}\left(1-3\frac{r_1}{r_0}\right) = -\frac{\mu}{r_0^k}\left(1 – k\frac{r_1}{r_0}\right)
$$

となり、今は\(h^2=\frac{\mu}{r_0^{k-3}}\)なので整理すると

$$
{\ddot r_1} = -\frac{\mu}{r_0^k}(3 – k)r_1
$$

となります。

式の意味

最後にこの式の意味を考えてみます。

これは\(3-k\)が正のとき、単振動の形をしています。(\({\ddot x}=-kx\)とかと同じ)

例えば万有引力

$$
F = -\frac{GmM}{r^2}
$$

だと\(k=2\)の場合に相当するので\(r_1\)が単振動します。

つまり、地球に摂動が与えられると軌道面を単振動しながら太陽の周りを公転するであろうことが分かりますね。

参考文献

こちらを参考にしました。

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