【量子力学】LS結合からエネルギー分裂を考えてみた!

物理

今回は「LS結合」について解説していきたいと思います。

LS結合とは軌道角運動量\(l\)とスピン\(s\) の合成を考えることでエネルギーを計算する方法のことです。

以前「【量子力学】角運動量の合成~直積状態と合成状態~」などで角運動量の合成などを行いましたが、これで導いた結果をフルに使っていきます。

今回はLS結合を使ってハミルトニアンを書き下し、異なる状態間のエネルギー分裂を求めてみたいと思います。

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LS結合

粒子の全角運動量

「異なる状態のエネルギー分裂を求める」といいましたが、異なる状態とは何でしょうか。

それは粒子の取りうる全角運動量\(\bf \hat j\)ごとの状態です。

全角運動量は

$$
\bf \hat j = \hat s + \hat l\tag{1}
$$

となります。

今回はスピン\(\bf \hat s\)の大きさが\(\frac{1}{2}\),軌道角運動量\(\bf \hat l\)の大きさが1の状態にある粒子を考えます。

よって全角運動量\(\bf \hat j\)の大きさは

$$
\begin{eqnarray}
j &=& 1+\frac{1}{2},1+\frac{1}{2}-1\\
&=& \frac{3}{2},\frac{1}{2}\tag{2}
\end{eqnarray}
$$

となります。

(なぜこの二つなのかは「 【量子力学】角運動量の合成~直積状態と合成状態~ 」で解説した通りです。全角運動量(合成角運動量)は整数・半整数を取ります。)

ハミルトニアン

では、この粒子のハミルトニアンを決めていきます。

今回は中心場\(V(r)\)(クーロンポテンシャルなど)につかまった粒子を考えます。

また、粒子のスピン軌道相互作用\(\lambda\bf \hat l \cdot \hat s\)も考えると、ハミルトニアンは

$$
\hat H = \frac{\hat p^2}{2m}+V(r) + \lambda\bf \hat l \cdot \hat s \tag{3}
$$

となります。

\( \lambda\bf \hat l \cdot \hat s \)

(3)式の\(\lambda\bf \hat l \cdot \hat s\)を\(\bf \hat j\)で表してみましょう。

(1)式から、

$$
\bf \hat j = \hat s + \hat l
$$

であったので、これを二乗します。

すると

$$
\bf \hat j^2 = \hat s^2 + \hat l^2 + 2\hat l \cdot \hat s \tag{4}
$$

となります。

よって、

$$
\bf \hat l \cdot \hat s = \frac{ \bf \hat j^2 – \hat s^2 – \hat l^2 }{2}\tag{5}
$$

となります。

よって(3)式のハミルトニアンは

$$
\hat H = \frac{\hat p^2}{2m}+V(r) + \lambda \frac{ \bf \hat j^2 – \hat s^2 – \hat l^2 }{2} \tag{6}
$$

と書き換えることができます。

エネルギー分裂

ではエネルギー分裂を確かめていきましょう。

(6)式の固有状態を\(| \psi \rangle\)とすると

$$
\langle \psi |\hat H | \psi \rangle = \langle \psi |\frac{\hat p^2}{2m}+V(r) | \psi \rangle + \langle \psi | \lambda \frac{ \bf \hat j^2 – \hat s^2 – \hat l^2 }{2}| \psi \rangle \tag{7}
$$

となります。

これは

$$
\begin{cases}
\langle \psi |\hat H | \psi \rangle = E_0\\
\langle \psi |\frac{\hat p^2}{2m}+V(r) | \psi \rangle = E_1
\end{cases}
$$

とすると

(7)式は

$$
E_0 = E_1 + \langle \psi | \lambda \frac{ \bf \hat j^2 – \hat s^2 – \hat l^2 }{2}| \psi \rangle \tag{8}
$$

と変形できます。

固有値

では(8)式の

$$
\langle \psi | \lambda \frac{ \bf \hat j^2 – \hat s^2 – \hat l^2 }{2}| \psi \rangle
$$

部分を計算していきましょう。

【量子力学】角運動量の合成~直積状態と合成状態~ 」でやったように全角運動量\(\bf \hat j\),軌道角運動量 \(\bf \hat l\),スピン \(\bf \hat s\)は次のように書けます。

$$
\begin{cases}
{\bf j^2|\psi \rangle} = j(j+1)|\psi\rangle \\
{\bf l^2|\psi \rangle} = l(l+1)|\psi\rangle \\
{\bf s^2|\psi \rangle} = s(s+1)|\psi\rangle
\end{cases}\tag{9}
$$

\(j=\frac{3}{2}\)のとき

これで準備が整いました。

$$
\begin{cases}
j=\frac{3}{2}\\
l = 1\\
s=\frac{1}{2}
\end{cases}
$$

のとき(9)式を(8)式に代入すると

$$
\begin{eqnarray}
E_0 &=& E_1 + \lambda \langle \psi | \lambda \frac{ j(j+1) – s(s+1) – l(l+1) }{2}| \psi \rangle \\
&=& E_1 + \lambda \frac{ \frac{3}{2}\left(\frac{3}{2}+1\right) – 1(1+1)-\frac{1}{2}\left(\frac{1}{2}\right) }{2} \\
&=& E_1 + \frac{\lambda}{2}
\end{eqnarray} \tag{10}
$$

となります。

\(j=\frac{1}{2}\)のとき

$$
\begin{cases}
j=\frac{1}{2}\\
l = 1\\
s=\frac{1}{2}
\end{cases}
$$

のとき(9)式を(8)式に代入すると

$$
\begin{eqnarray}
E_0 &=& E_1 + \lambda \langle \psi | \lambda \frac{ j(j+1) – s(s+1) – l(l+1) }{2}| \psi \rangle \\
&=& E_1 + \lambda \frac{ \frac{3}{2}\left(\frac{1}{2}+1\right) – 1(1+1)-\frac{1}{2}\left(\frac{1}{2}\right) }{2} \\
&=& E_1 -\lambda
\end{eqnarray} \tag{11}
$$

となります。

よって(10),(11)から、二つのエネルギー準位が確認され、分裂していることが分かりました!!

参考

http://phys.sci.hokudai.ac.jp/~kita/QuantumMechanicsIII/QuantumMechanicsIII(spin).pdf
物理定数 - プランク単位 - Weblio辞書
物理定数 プランク単位 詳細は「系」および「自然単位系」を参照これらの定数は、他の物理定数の中から恣意的に幾つかの定数を選び便宜上"1"として定義する自然単位系に分類される単位系の一種で、マックス・プ...
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