【電磁気】ローレンツ条件とゲージ変換

物理

こんにちは

今回は「ローレンツ条件」について解説していきたいと思います。

ローレンツ条件とは

$$
\nabla \cdot {\bf A} + \epsilon_0 \mu_0 \frac{\partial \phi}{\partial t} = 0
$$

という条件のことです。

なぜこのようなややこしい条件を導入するのかというと、これを使うことで「【電磁気】電磁ポテンシャルについて詳しく解説してみた!」で求めた「マクスウェル方程式を電磁ポテンシャルで表した式」

$$
-\nabla^2 \phi – \epsilon_0\mu_0 \frac{\partial }{\partial t}\nabla \cdot{\bf A} = \rho\\
\nabla \times (\nabla \times {\bf A})= \mu_0 {\bf j} – \epsilon_0 \mu_0\nabla \frac{\partial \phi }{\partial t} – \epsilon_0^2\mu_0^2 \frac{\partial^2 {\bf A}}{\partial t^2}\\
$$

$$
\left(\nabla^2 – \frac{\partial^2}{\partial t^2}\right){\bf A} = -\mu_0 {\bf j}\\
\left(\nabla^2 – \frac{\partial^2}{\partial t^2}\right)\phi = -\frac{\rho}{\epsilon_0}
$$

というようにきれいにすることができます。(式をきれいにすることがローレンツ条件の目的)

それではさっそくやっていきましょう!

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ローレンツ条件

この記事では

  • マクスウェル方程式を変形してみる
  • ゲージ変換
  • ローレンツ条件

という流れで解説していきます。

マクスウェル方程式を変形してみる

さて、「【電磁気】電磁ポテンシャルについて詳しく解説してみた!」にて最後に求めた式

$$
-\nabla^2 \phi – \epsilon_0\mu_0 \frac{\partial }{\partial t}\nabla \cdot{\bf A} = \rho\\
\nabla \times (\nabla \times {\bf A})= \mu_0 {\bf j} – \epsilon_0 \mu_0\nabla \frac{\partial \phi }{\partial t} – \epsilon_0^2\mu_0^2 \frac{\partial^2 {\bf A}}{\partial t^2}\\
$$

がありましたが、これは式が汚いですね…。すこし変形して形を整えてみましょう。

すると

$$
\left(\nabla^2 – \epsilon_0 \mu_0 \frac{\partial^2}{\partial t^2}\right)\phi + \frac{\partial}{\partial t}\underbrace{\left(\nabla \cdot {\bf A} + \epsilon_0\mu_0 \frac{\partial \phi}{\partial t}\right)}_{①} = – \frac{\rho}{\epsilon_0}\\
\left(\nabla^2 – \epsilon_0 \mu_0 \frac{\partial^2}{\partial t^2}\right){\bf A} – \nabla\underbrace{\left(\nabla \cdot {\bf A} + \epsilon_0\mu_0 \frac{\partial \phi}{\partial t}\right)}_{①} = -\mu_0 {\bf j}
$$

とすることができます。だいぶ整ってきましたね。

さらに、もしも①の部分が

$$
\nabla \cdot {\bf A} + \epsilon_0\mu_0 \frac{\partial \phi}{\partial t} = 0
$$

となってくれればそれぞれの式が

$$
\left(\nabla^2 – \frac{\partial^2}{\partial t^2}\right){\bf A} = -\mu_0 {\bf j}\\
\left(\nabla^2 – \frac{\partial^2}{\partial t^2}\right)\phi = -\frac{\rho}{\epsilon_0}
$$

となり、さらに式がきれいになります!(さらに言えば、連立方程式を解かなくてもよくなります!)

…しかし、こんな都合よく

$$
\nabla \cdot {\bf A} + \epsilon_0\mu_0 \frac{\partial \phi}{\partial t} = 0
$$

という関係が\({\bf A},\phi\)の間にあるものでしょうか?

そこで出てくるのが「ゲージ変換」です!

ゲージ変換

少し話は戻り、電磁ポテンシャルを決めるときを考えます。

\({\bf E,B}\)を\({\bf A},\phi\)に変換するときに

$$
{\bf B} = \nabla \times {\bf A}\\
$$

を考えましたが、\({\bf B}\)を\({\bf A}\)に変換する代わりに

$$
{\bf A’} = {\bf A} + \nabla \chi  (\chi は定数)
$$

を満たす\({\bf A’}\)に変関しても同じような式が出てきます。

実際に代入してみると

$$
\begin{eqnarray}
{\bf B} &=& \nabla \times {\bf A’}\\
&=& \nabla \times ({\bf A} + \nabla \chi)\\
&=& \nabla \times {\bf A} (ここで\nabla \times (\nabla \chi) = 0を使った)
\end{eqnarray}
$$

となり、\({\bf A’} でも {\bf A}\)でも全く同様に\({\bf B}\)を変形できます。

これは

$$
{\bf E} = -\nabla \phi – \epsilon_0 \mu_0 \frac{\partial {\bf A}}{\partial t}
$$

において

$$
\phi’ = \phi + \nabla \chi  (\chi は定数)
$$

を\(\phi\)の代わりに代入しても成り立ちます。

つまりここからいえることは\({\bf E,B}\)を変換するときには\({\bf A},\phi\)でも\({\bf A’},\phi’\)でも好きな方に変換していいよ(\({\bf A”},\phi”\)とかでもいい)!!ということです。

このような変換を「ゲージ変換」といいます。

ローレンツ条件

このように、ゲージ変換では好きなように\({\bf A},\phi\)を選ぶことができます。

なので先ほどの述べたような式がきれいになる(都合のいい)関係

$$
\nabla \cdot {\bf A} + \epsilon_0\mu_0 \frac{\partial \phi}{\partial t} = 0
$$

を満たすような\({\bf A},\phi\)を選べばいいのです!!
(そうすれば式がきれいになり、みんなハッピー)

このような都合のいい関係、これが「ローレンツ条件」になります。

余談

好きな\({\bf A},\phi\)を選ぶというのはつまるところ\(\chi\)を選ぶということになります。

このようなローレンツ条件を満たす\(\chi\)は必ず存在します。つまり

$$
\begin{eqnarray}
\nabla \cdot {\bf A’} + \epsilon_0\mu_0 \frac{\partial \phi’}{\partial t} &=& \nabla \cdot ({\bf A} + \nabla \phi) + \epsilon_0\mu_0 \frac{\partial }{\partial t}\left(\phi – \frac{\partial \chi}{\partial t}\right)\\
&=& \left(\nabla^2 – \epsilon_0\mu_0 \frac{\partial^2}{\partial t^2}\right)\chi + \left(\nabla \cdot {\bf A} + \epsilon_0\mu_0 \frac{\partial \phi}{\partial t}\right)\\
&=& 0
\end{eqnarray}
$$

を満たす\(\chi\)であり、それはすなわち

$$
\left(\nabla^2 – \epsilon_0\mu_0 \frac{\partial^2}{\partial t^2}\right)\chi + \left(\nabla \cdot {\bf A} + \epsilon_0\mu_0 \frac{\partial \phi}{\partial t}\right)= 0
$$

を満たす\(\chi\)だからです。この式の解\(\chi\)は必ず存在します。

まとめ

ローレンツ条件

$$
\nabla \cdot {\bf A} + \epsilon_0\mu_0 \frac{\partial \phi}{\partial t} = 0
$$

を満たすような、好きな電磁ポテンシャルを決めることでマクスウェル方程式は

$$
\left(\nabla^2 – \frac{\partial^2}{\partial t^2}\right){\bf A} = -\mu_0 {\bf j}\\
\left(\nabla^2 – \frac{\partial^2}{\partial t^2}\right)\phi = -\frac{\rho}{\epsilon_0}
$$

と書くことができるようになりました。

これは非常にきれいな形で、このことによって簡単に\({\bf A},\phi\)を求めることができるようになりました!!

参考

EMANの物理学・電磁気学・ゲージ変換

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