今回はルジャンドル多項式を求めます。
ルジャンドル多項式とはルジャンドルの微分方程式の解を級数で表示したものになります。
級数を使うので扱いに苦労するかもしれませんが、一つづつ見ていきましょう。
ルジャンドルの微分方程式の級数
ルジャンドルの微分方程式の変形
前回の記事の(8)式においてルジャンドルの微分方程式を示しました。
この式を
$$
\begin{eqnarray}
\begin{cases}
\lambda = l(l+1)\\
z = \cos\theta\\
P(z) = \Theta(\theta)
\end{cases}
\end{eqnarray}
$$
とおくと、(8)式は
$$
(1-z^2)\frac{d^2P}{dz^2}-2z\frac{dP}{dz}+l(l+1)P\tag{1}
$$
と変形できます。
漸化式
では、次に解\(P\)を級数表示をしていきましょう。
その準備として
$$
P = \sum_{m=0}^{\infty}c_mz^m\tag{2}
$$
としたときの\(c_m\)の漸化式を求めます。
(2)式を(1)式に代入すると
$$
(1-z^2)\sum_{m=0}^{\infty}m(m-1)c_mz^{m-2} – 2\sum_{m=0}^{\infty}mc_mz^m + l(l+1) \sum_{m=0}^{\infty} c_mz^m = 0
$$
$$
\underbrace{\sum_{m=0}^{\infty}m(m-1)c_mz^{m-2}}_{①}-\sum_{m=0}^{\infty}m(m-1)c_mz^{m} – 2\sum_{m=0}^{\infty}mc_mz^m + l(l+1) \sum_{m=0}^{\infty} c_mz^m = 0 \tag{3}
$$
ここで①に注目すると\(m=0,1\)のときはゼロになるから
$$
\begin{eqnarray}
① &=& \sum_{m=2}^{\infty}m(m-1)c_mz^{m-2}\\
&=& \sum_{m=0}^{\infty}(m+1)(m+2)c_{m+2}z^{m}
\end{eqnarray}
$$
より、(3)式を\(z^m\)でくくると
$$
\sum_{m=0}^{\infty}[(m+2)(m+1)c_{m+2}+\{-m(m-1)-2m+l(l+1)\}c_m]z^m=0\tag{4}
$$
となります。
よってここから漸化式
$$
\begin{eqnarray}
c_{m+2} &=& \frac{m(m+1)-l(l+1)}{(m+1)(m+2)}c_m\\
&=& -\frac{(m+l+1)(l-m)}{(m+1)(m+2)}c_m\tag{5}
\end{eqnarray}
$$
となります。
発散しない条件
ダランベールの判定法から
$$
\lim_{m\to\infty}\frac{|c_{m+2}|}{|c_m|} = 1
$$
なので\(z=1\)で発散してしまいます。
偶数項と奇数項に分ける
ここで\(P\)を偶数項と奇数項に分けます。すなわち、
$$
\begin{eqnarray}
P(z) &=& \sum_{m=0}^{\infty}c_mz^m\\
&=& \underbrace{\sum_{n=0}^{\infty}c_{2n}z^{2n}}_{偶数項}+ \underbrace{\sum_{n=0}^{\infty}c_{2n+1}z^{2n+1}}_{奇数項}\\
&=& \underbrace{\frac{(l+1)l}{1\cdot 2}c_0+\frac{(3 + l)(l-2)}{3\cdot 4}c_2+ \cdots }_{偶数項} + \underbrace{\frac{(l+2)(l-1)}{2\cdot 3}c_1+\frac{(4 + l)(l-3)}{4\cdot 5}c_3+\cdots}_{奇数項} \tag{6}
\end{eqnarray}
$$
とします。
(6)式が有限項で割り切れるためには
$$
\begin{cases}
「c_1 = 0」かつ「l = \cdots ,-3,-1,0,2, \cdots」\\
「c_0 = 0」かつ「l = \cdots ,-4,-2,1,3, \cdots 」
\end{cases}
$$
となります。
よってここから\(l\)が整数のとき、ルジャンドルの微分方程式は有意な解を持ちます。
ルジャンドル多項式
では\(l\)が負でないときの\(P\)の求めてみましょう。
\(l\)が偶数
\(c_1 = 0\)かつ\(l\)が偶数のとき
$$
P = c_0\sum_{m=0}^{l}\frac{(m-l)(m+l+1)}{(m+1)(m+2)}z^{2m}
$$
\(l\)が奇数
\(c_0 = 0\)かつ\(l\)が奇数のとき
$$
P = c_1\sum_{m=0}^{l}\frac{(m-l)(m+l+1)}{(m+1)(m+2)}z^{2m+1}
$$
これらをルジャンドル多項式と呼びます。
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[…] (「【量子力学】ルジャンドル多項式の導出 」でもルジャンドル多項式を導出しました。形は違いますが言っていることは同じです。) […]