【電磁気】ルジャンドル多項式を使って導体の外に電場がつくるポテンシャルを求めてみた!!

物理

今回はルジャンドル多項式を利用して静電ポテンシャルを求めていきたいと思います。

その中でも特に「一様電場が導体球の外部につくるポテンシャル」を計算していきたいと思います。

これはポテンシャルを\(\phi\)、導体の半径を\(R\)、電場を\(E_0\)とすると

$$
\phi(r,\theta) = -\left(1-\frac{R^3}{r^3}\right)E_0r\cos\theta
$$

と表されます。

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一様電場が導体球の外部につくるポテンシャル

今回は\(z\)軸方向に一様な電場\((0,0,E_0)\)の中に、電荷のない半径\(R\)の導体が置かれている状態を考えます。

この導体の外部につくられているポテンシャル\(\phi\)を求めてみましょう。

ルジャンドル多項式

ルジャンドル多項式\(P_l(x)\)は

$$
P_l(x) = \frac{1}{2^{l}l!}\left(\frac{d}{dx}\right)^l(x^2-1)\tag{1}
$$

で与えられます。

(「【量子力学】ルジャンドル多項式の導出 」でもルジャンドル多項式を導出しました。形は違いますが言っていることは同じです。)

ルジャンドル多項式を使うと、ラプラス方程式\(\nabla^2 \phi = 0\)の一般解、

つまりポテンシャルは

$$
\phi(r,\theta) = \sum_{l=0}^{\infty}\left(A_lr^{l} + \frac{B_l}{r^{l+1}}\right)P_l(\cos\theta)\tag{2}
$$

と表されます。

あとは定数\(A_l,B_l\)を境界条件から求めることで、ポテンシャル\(\phi\)を決定することができます!

遠方でのポテンシャル\(\phi\)

では、まず一つ目の境界条件、十分遠方(\(z \gg 1\))でのポテンシャルを求めてみましょう。

十分遠方では\(z\)軸方向にしか電場がないので、ポテンシャルは

$$
\begin{eqnarray}
\phi(z) &=& -\int {\bf E} \cdot d\bf r\\
&=& -\int_{0}^{z} E_0 dz\\
&=& -E_0z
\end{eqnarray}\tag{3}
$$

ここで、三次元極座標を考えます。つまり、

$$
\begin{cases}
x=r\sin\theta\cos\psi\\
y=r\sin\theta\sin\psi\\
z=r\cos\theta
\end{cases}\tag{4}
$$

となります。

\(z=r\cos\theta\)なので(3)式は

$$
\phi(r,\theta) = -E_0z = -E_0r\cos\theta\tag{5}
$$

となります。

さらにルジャンドル多項式の(1)式に、\(l = 1,x=\cos\theta\)を代入すると

$$
P_1(\cos\theta) = \cos\theta\tag{6}
$$

となるので、(5)式は

$$
\phi(r,\theta) = -E_0rP_1(\cos\theta)\tag{7}
$$

となります。これが、十分遠方でのポテンシャルになります。

ポアソン方程式の解と比較

ここで、ポアソン方程式の解である(2)式を考えます。

(2)式の遠方(\(r\to \infty\))での式は

$$
\phi(r,\theta) = \sum_{l=0}^{\infty}\left(A_lr^{l} \right)P_l(\cos\theta)\tag{8}
$$

となります。

(7)=(8)が成り立つので、

$$
-E_0rP_1(\cos\theta) = A_0P_0(\cos\theta) + A_1rP_1(\cos\theta)+A_3r^3P_3(\cos\theta)\cdots\tag{9}
$$

となります。

よって任意の\(\theta\)について成り立つためには

$$
A_1 = -E_0\tag{10}
$$

でそれ以外は\(A_l = 0\)といえます。

導体表面でのポテンシャル

次に導体表面の境界条件から定数を決めていきます。

今回、導体は電荷を帯びていないので、表面(\(r=R\))ではポテンシャルが0になります。

よって(2)式は

$$
\begin{eqnarray}
\phi(r,\theta) &=& \sum_{l=0}^{\infty}\left(A_lr^{l} + \frac{B_l}{r^{l+1}}\right)P_l(\cos\theta) \\
&=& -RE_0P_1(\cos\theta)+ \sum_{l=0}^{\infty}\left(\frac{B_l}{R^{l+1}}\right)P_l(\cos\theta) \\
&=& \frac{B_0}{R}P_0(\cos\theta) + \left(-E_0R + \frac{B_1}{R^2}\right)P_1(\cos\theta) + \frac{B_{2}}{R^3}P_{2}(\cos\theta) + \cdots\\
&=& 0
\end{eqnarray}\tag{11}
$$

となります。これが任意の\(\theta\)で成り立つためには

$$
B_1 = E_0R^3\tag{12}
$$

でそれ以外は\(B_l=0\)といえます。

ポテンシャルの値

(10),(12)式からポテンシャル\(\phi(r,\theta)\)は

$$
\phi(r,\theta) = -\left(1-\frac{R^3}{r^3}\right)E_0r\cos\theta
$$

となり、これが一様電場が導体球の外部につくるポテンシャルの値になります!!

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