【流体力学】Lagrangeの見方・Eulerの見方について解説した!

物理

こんにちは

今回は「Lagrangeの見方・Eulerの見方」について解説したいと思います。

簡単に言うとLagrangeの見方とは「流体と一緒に動いて運動を計算」Eulerの見方とは「流体を外から眺めて動きを計算」するということです。

そして、これらの見方の関係性として以下のような式が与えられます。

$$
\frac{D{\bf F}}{Dt} = \frac{∂{\bf F}}{∂t}+({\bf v}\cdot \nabla ){\bf F}
$$

この式は流体力学をやる上で欠かせないものになっているのでぜひマスターしてください!

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Lagrangeの見方・Eulerの見方

ではまず、Lagrangeの見方からやっていきたいと思います。

Lagrangeの見方

Lagrangeの見方とは「流体と一緒に動」見方です。

例えば川を流体とすると「イカダに乗って流される」などがそうです。

普通の力学で例えるなら、電車に吊り下がっている振り子の運動を、電車の中から観測すると言う見方に相当します。

Eulerの見方

一方、Eulerの見方とは「流体を外から眺める」見方です。

同じように川の流れを考えます。

しかし、今度はイカダに乗るのではなく、岸から川の流れをはかります。

そして、その場から動かず、その地点を通過する葉っぱの動きから川の流れを計算します。

普通の力学で考えるなら、電車の中で吊り下がっている振り子を電車の外から観測して、運動を計算するという見方に相当します。

何が嬉しいの?

ここまで見てきて、「そんなことして何が嬉しいの?」と疑問に思った方もいるかもしれません。

なぜ、このような二つの見方をするのかということは、「考えている物体が流体である」ということに起因します。

流体力学で流体を考えるとき、大抵は流体全体を考えるわけではなく、流体のある一部分だけ取り出して考えます。

この点が、いわゆる普通の力学と大きく異なる点です。

考える流体の一部分は他の流体と隣り合って、互いに影響を及ぼし合っているのです。

この場合、Eulerの見方だと式が立てにくいのです。

つまり、流体と一緒に動くわけではないので、Eulerの見方で考える流体の一部分には、他の流体からの質量や運動量の流入出を考えなくてはいけなくなります。

普通の力学で例えるなら、質点の自由落下を考える時に、質点の重さが増えたり減ったりするようなものです。式がめんどくさくなりそうですよね。

一方Lagrangeの方は、流体と一緒に動いているので、流入出を考えなくて良いのです。

普通の力学でやったようにその流体の部分が受ける力とかを素直に考えたら良いのです。

なら、Lagrangeだけでいいんじゃない?と思った方もいるかもしれません。

しかし、Lagrangeの方法で数値シミュレーション考える場合、粒子一個一個について考えなくてはいけません。これはかなり大変な作業でしょう。

一方、Eulerの方法なら、流体をマス目状にしてその部分について流入出を考えれば良いので、こちらの方が若干楽になると考えられます。

つまり、ここで言いたいこととしては、どちらの方法についても長所短所があるということです。

なので場合に応じてこれらを使い分けたいところです。

では最後にこれらの二つの見方の関係性について考えていきましょう。

Lagrangeの見方とEulerの見方の関係性

では、何らかの物理量(速度とかエネルギーとか)\(F(x,y,z,t)\)の時間微分を考えていきます。

流体力学ではLagrangeの見方で微分するとき

$$
\frac{DF}{Dt}
$$

と大文字の\(D\)で表します。これは決まりだと思ってください。

とはいえ、ただの時間微分なので、これを極限の形で書くと

$$
\frac{DF}{Dt} = \lim_{\Delta t \to 0} \frac{F(x+v_x\Delta t, y+v_y\Delta t, z+v_z\Delta t,t+∆t) – F(x,y,z,t)}{\Delta t}
$$

となります。さらに右辺の分子は

$$
F(x+v_x\Delta t, y+v_y\Delta t, z+v_z\Delta t, t+∆t) – F(x,y,z,t) = \frac{∂F}{∂t}∆t + \frac{∂F}{∂x}v_x∆t +\frac{∂F}{∂y}v_y∆t +\frac{∂F}{∂z}v_z∆t
$$

となるので、結局

$$
\frac{DF}{Dt} = \frac{∂F}{∂t} + \frac{∂F}{∂x}v_x +\frac{∂F}{∂y}v_y+\frac{∂F}{∂z}v_z
$$

となります。

最後に右辺をベクトル表示にすると

$$
\frac{DF}{Dt} = \frac{∂F}{∂t}+({\bf v}\cdot \nabla)F
$$

と書けます。

左辺はLagrangeの見方で考えたときの時間微分です。

右辺の第一項はEulerの見方で考えたときの時間微分になります。

それに加えて、Eulerの見方では時間と共にFの量が流体の運動によって変わります。その効果が第二項に現れています。

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