【剛体】半円板の運動と周期を求めてみた

物理

今回は「【力学】半円板の重心と慣性モーメントを求めてみた」で扱った半円板の運動を解析してみたいと思います。

具体的には、この半円板を\(\theta\)だけ傾かせて単振動をさせてみたいと思います。

そして、このときの単振動の周期

$$
T = 2\pi\sqrt{\frac{(9\pi-8)a}{8g}}
$$

力学的エネルギー保存則などを使い、求めていきたいと思います。

スポンサーリンク

力学の参考書

今回は

で紹介されている方法を参考にしました。

他にも「【難関大学院向け】院試で役に立った数学・物理の参考書」では院試の際には本当に助けられたえりすぐりの院試参考書をまとめてみたので、興味があればぜひ。

半円板の運動

上の図のように「 【力学】半円板の重心と慣性モーメントを求めてみた 」で扱った半円板を傾けて単振動させます。

ある時間で角度が\(\theta\)となり、そのとき半円板と地面との接点を\(A\)とします。

このとき、半円板は\(A\)を中心とした回転運動をしているとします。(瞬時回転)

\(A\)点まわりの慣性モーメント

ではまず、\(A\)まわりの慣性モーメント\(I_A\)を求めていきたいと思います。

半円から\(C,G,A\)の距離の関係を取り出すと

のような三角形になることが分かります。(\(AG\)間の距離を\(b\)としました。)

余弦定理を使って\(b\)を求めると

$$
b^2 = l^2+a^2-2al\cos\theta\tag{1}
$$

となります。

平行軸の定理

ここで平行軸の定理から

$$
I_A = I_G + mb^2
$$

なので、「【力学】半円板の重心と慣性モーメントを求めてみた 」で求めた\(I_C = \frac{1}{2}a^2,l=\frac{4a}{3\pi}\)を代入して整理すると

$$
\begin{eqnarray}
I_A &=&\underbrace{ I_C – ml^2 }_{I_G}+mb^2\\
&=& \frac{1}{2}ma^2 + m(b^2 – l^2)\\
&=& \frac{1}{2}ma^2 + m(a^2-2al\cos\theta)\\
&=& \left(\frac{3}{2}-\frac{8}{3\pi}\cos\theta\right)ma^2\tag{2}
\end{eqnarray}
$$

となります。

\(I_A\)まわりの回転エネルギー

ではこのときの半円板の持つ運動エネルギー\(T_A\)を求めてみましょう。

半円板は\(A\)まわりに回転しているので、\(T_A\)は\(I_A\)まわりの回転エネルギーで表されます。

よって、

$$
T_A = \frac{1}{2}I_A|\dot\theta|^2\tag{3}
$$

となります。

力学的エネルギー保存則

次に力学的エネルギー保存を考えます。

半円板が\(\theta = \theta\)のとき、 半円板の重心にすべての質量が集まっていると考えると力学的エネルギーは

$$
\underbrace{mg(a-l\cos\theta)}_{位置エネルギー}+\underbrace{\frac{1}{2}I_A\dot\theta^2 }_{回転エネルギー}\tag{4}
$$

一方、半円板が\(\theta = 0\)のとき、力学的エネルギーは

$$
mg(a-l)\tag{5}
$$

となります。

(4),(5)式は等しいので

$$
mg(a-l\cos\theta)+\frac{1}{2}I_A\dot\theta^2 = mg(a-l) \tag{6}
$$

となります。

よって\(|\dot\theta|^2\)は

$$
|\dot\theta| = \sqrt{\frac{2mgl}{I_A}(\cos\theta -1)}\tag{7}
$$

となります。

運動方程式

次にこの半円板の運動方程式を求めていきたいと思います。

\(I_A,\theta\)は時間に依存することに注意して(6)式を時間微分すると

$$
mg(\dot\theta l\sin\theta)+ \frac{1}{2}\left(\frac{8}{3\pi}\sin\theta\dot\theta\right)ma^2 \dot\theta^2 +I_A\dot\theta\ddot\theta = 0\tag{8}
$$

となり、\(\theta\)を微小量とすると

$$
\begin{cases}
\sin\theta \sim \theta\\
\dot\theta^3 \sim 0
\end{cases}
$$

となります。

これを代入すると(8)式は

$$
I_A\ddot\theta = – mgl\theta \tag{9}
$$

となります。

これが半円板の運動方程式になります。単振動していることが分かりますね。

周期

最後にこの運動の周期を求めてみたいと思います。

(9)式から

$$
T = \frac{2\pi}{\sqrt{\frac{mgl}{I_A}}} = 2\pi\sqrt{\frac{(9\pi-8)a}{8g}}
$$

となります。

タイトルとURLをコピーしました