今回は半円板の剛体について考えていきたいと思います。
半円板は重心が
$$
y_G = \frac{4a}{3\pi}
$$
重心まわりの慣性モーメントが
$$
I_G = \frac{1}{2}ma^2 – \frac{16a^2m}{9\pi^2}
$$
と少し複雑な結果になるので慎重に計算していきましょう。
これまで剛体の問題は「【力学】斜面を転がっていく剛体」や、「【慣性モーメント】円柱が段差を乗り上げる条件」などでやってきたように、院試では頻出などでしっかりと理解しておきましょう。
力学の参考書
今回は
で紹介されている方法を参考にしました。
他にも「【難関大学院向け】院試で役に立った数学・物理の参考書」では院試の際には本当に助けられたえりすぐりの院試参考書をまとめてみたので、興味があればぜひ。
半円板の剛体
図

上のような質量\(m\)で半径\(a\)の一様な薄い半円板を考えていきます。
点\(C\)から\(l\)の位置に半円板の重心があります。
重心の位置
\(y\)軸上の重心の位置\(y_G\)は
$$
y_G =l = \frac{\int_{S}ydS}{S}\tag{1}
$$
となります。(\(S\)は図形の面積)
実際にやってみましょう。
\(C \to G\)を\(y\)軸に取ります。
さらにこのとき、\(y = r\sin\theta\)と変数変換して面積分を行っていきます。
(1)式から重心\(y_G = l\)は
$$
\begin{eqnarray}
l &=& \frac{\int_{S}r\sin\theta dS}{S} \\
&=& \frac{\int_0^a\int_0^{\pi}r^2\sin\theta d\theta dr}{\frac{1}{2}\pi a^2}\\
&=& \frac{4a}{3\pi}\tag{2}
\end{eqnarray}
$$
となります。(途中の\(r^2\)はヤコビアンで\(r\)がついたため)
重心まわりの慣性モーメント
次に重心まわりの慣性モーメント\(I_G\)を求めていきたいと思います。
いきなり\(I_G\)を求めることはできないので、まずは\(C\)点まわりの慣性モーメント\(I_C\)を求めてから、平行軸の定理を使っていきます。
\(C\)点まわりの慣性モーメント\(I_C\)
\(C\)まわりの慣性モーメントは
微小の重さ\(\Delta m\)を考え、それを積分します。
$$
\Delta m = \sigma \pi r \Delta r \left(\sigma = \frac{m}{\frac{1}{2}\pi a^2} は半円板の面密度\right)\tag{3}
$$

より、これを積分すると
$$
\begin{eqnarray}
I_C &=& \int_S r^2 dm\\
&=& \int_S r^2 \sigma \pi r dr \\
&=& \int_{0}^{a} r^3 \sigma \pi dr \\
&=& \frac{1}{2}ma^2\tag{4}
\end{eqnarray}
$$
となります。
平行軸の定理
次に\(I_G\)を求めていきます。
平行軸の定理から
$$
I_C = I_G +ml^2
$$
なので、(2)(4)式から
$$
\begin{eqnarray}
I_G &=& I_C - ml^2\\
&=& \frac{1}{2}ma^2 - m\left(\frac{4a}{3\pi}\right)^2 \\
&=& \frac{1}{2}ma^2 - \frac{16ma^2}{9\pi^2}
\end{eqnarray}
$$
となります。
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コメント
[…] 今回は「【力学】半円板の重心と慣性モーメントを求めてみた」で扱った半円板の運動を解析してみたいと思います。 […]
[…] (「【力学】半円板の重心と慣性モーメントを求めてみた」でも使いました。) […]