【量子統計】フェルミエネルギーを求めてみた!!

物理

今回は「フェルミエネルギー」につて解説したいと思います。

フェルミエネルギーは半導体分野などでよく使われる値で、絶対零度での化学ポテンシャルを表します。

ではこれを実際に求めてみましょう。

スポンサーリンク

フェルミエネルギー

一辺の長さが\(L\)の立方体に\(N\)個のフェルミ粒子が入っていると考えます。

シュレディンガー方程式を解く

まず、フェルミオン一個に対するシュレディンガー方程式

$$
-\frac{\hbar^2}{2m}\nabla^2 \phi = \epsilon_n \phi
$$

\begin{cases}
\phi(x+L,y,z) = \phi (x,y,z)\\
\phi(x,y+L,z) = \phi (x,y,z) \\
\phi(x,y,z+L) = \phi (x,y,z)
\end{cases}

の条件のもと解くと、\(x\)成分のエネルギー固有値は

$$
\epsilon_x = \frac{2}{m}\left(\frac{\pi\hbar}{L}\right)^2n_x^2 (n_x = 0,\pm 1,\pm 2,\cdots)
$$

となります。

同様にして、

$$
\epsilon_y = \frac{2}{m}\left(\frac{\pi\hbar}{L}\right)^2n_y^2 (n_y = 0,\pm 1,\pm 2,\cdots)
$$

$$
\epsilon_z = \frac{2}{m}\left(\frac{\pi\hbar}{L}\right)^2n_z^2 (n_z = 0,\pm 1,\pm 2,\cdots)
$$

なのでエネルギー固有値は\(\epsilon_n\)はすべての成分の和で表されるので

\begin{eqnarray}
\epsilon_n &=& \epsilon_x + \epsilon_y + \epsilon_z\\
&=& \frac{2}{m}\left(\frac{\pi\hbar}{L}\right)^2 (n_x^2 + n_y^2 + n_z^2)\\
&=& \frac{2}{m}\left(\frac{\pi\hbar}{L}\right)^2 n^2 (n = (n_x,n_y,n_z))
\end{eqnarray}

となります。

ここで\(\epsilon_n\)がぐちゃぐちゃしてきたので\(n^2\)の係数を\(\alpha\)と置き

$$
\epsilon_n= \alpha n^2 \tag{1}
$$

とします。

状態密度

次に状態密度\(D(\epsilon)\)を求めます。

状態密度は単位エネルギー当たりの粒子の数を表し、

$$
N = \int_{0}^{\infty} d\epsilon \frac{D(\epsilon)}{e^{\beta(\epsilon – \mu)} + 1}\tag{2}
$$

を満たします。

これを求めるためにまず、粒子数の期待値を変形していきます。

\begin{eqnarray}
N &=& \sum \langle n \rangle \\
&=& \sum_{n,s=\pm\frac{1}{2}}\frac{1}{e^{\beta (\epsilon_n-\mu)}+1}\\
&=& 2\sum_{n} \frac{1}{e^{\beta (\epsilon_n-\mu)}+1} (一粒子につき2つのスピン状態)\\
&=& \int_{-\infty}^{\infty} d^3\chi \frac{2}{e^{\beta (\alpha \rho^2-\mu)}+1} (オイラーの和公式)\\
&=& \int_{0}^{\infty}\frac{8\pi\rho^2}{ e^{\beta (\alpha \rho^2-\mu)}+1 } d\rho (\rho = \sqrt{\chi_1^2 + \chi_2^2 + \chi_3^2 }を使って変形)
\end{eqnarray}

となります。

ここから、\(\rho = \sqrt{\frac{\epsilon}{\alpha}}\)を利用してさらに変形すると

\begin{eqnarray}
N &=&\int_{0}^{\infty}\frac{8\pi\rho^2}{ e^{\beta (\alpha \rho^2-\mu)}+1 } d\rho\\
&=& \int_{0}^{\infty}\frac{8\pi\rho^2}{ e^{\beta (\alpha \rho^2-\mu)}+1 } \frac{1}{2\sqrt{\alpha \epsilon}}d\epsilon\\
&=& \int_{0}^{\infty} d\epsilon \frac{\frac{4\pi}{\alpha}\sqrt{\frac{\epsilon}{\alpha}}}{e^{\beta(\epsilon – \mu)} + 1}
\end{eqnarray}

となります。

(2)式と比較すると

$$
D(\epsilon) = \frac{4\pi}{\alpha}\sqrt{\frac{\epsilon}{\alpha}} \tag{3}
$$

となります。

フェルミエネルギー

フェルミエネルギーを\(\epsilon_F\)としたとき、絶対零度\(T=0\)で化学ポテンシャル\(\mu = \epsilon_F\)となることを利用して(2)式を積分していきます。

ここで、

(i)\( \epsilon_n < \mu (= \epsilon_F)\)のとき

$$
\frac{1}{e^{\beta(\epsilon_n – \mu)} + 1} = 1
$$

であり、

(ii)\( \epsilon_n > \mu (= \epsilon_F)\)のとき

$$
\frac{1}{e^{\beta(\epsilon_n – \mu)} + 1} = 0
$$

であることを利用すると

\begin{eqnarray}
N &=& \int_{0}^{\infty} d\epsilon \frac{D(\epsilon)}{e^{\beta(\epsilon – \mu)} + 1}\\
&=& \int_{0}^{\epsilon_F} d\epsilon \frac{D(\epsilon)}{e^{\beta(\epsilon – \mu)} + 1} + 0\\
&=&\int_{0}^{\epsilon_F} \frac{4\pi}{\alpha \sqrt{\alpha}} \sqrt{\epsilon} d\epsilon \\
&=& \frac{8\pi}{3\alpha\sqrt{\alpha}}\epsilon_F^{\frac{3}{2}}
\end{eqnarray}

となります。

よって、

$$
\epsilon_F = \alpha\left(\frac{3N}{8\pi}\right)^{\frac{2}{3}}
$$

となります。

【最後に】東大院試の過去問つくりました!!

東京大学大学院地球惑星科学専攻の専門科目の一つである「物理」の解答を作成し、noteで公開(販売)しました。

R2東京大学大学院地球惑星科学専攻の物理解答|いまぎし|note
R2東京大学大学院地球惑星科学専攻の専門科目の一つである、「物理」の解答です。 見やすくなるよう、全てTexで書きました。 ↑こんな感じです。 以下にファイルが3つあり、「R2-tokyo-3.pdf」「R2-tokyo-4.pdf」「R2-tokyo-5.pdf」となっています。 上から順番に第3問、...
H31東京大学大学院地球惑星科学専攻の物理解答|いまぎし|note
H31東京大学大学院地球惑星科学専攻の専門科目の一つである、「物理」の解答です。 見やすくなるよう、全てTexで書きました。 ↑こんな感じです。 以下にファイルが3つあり、「h31-tokyo-3.pdf」「h31-tokyo-4.pdf」「h31-tokyo-5.pdf」となっています。 上から順番に...
H30東京大学大学院地球惑星科学専攻の物理解答|いまぎし|note
H30東京大学大学院地球惑星科学専攻の専門科目の一つである、「物理」の解答です。 見やすくなるよう、全てTexで書きました。 ↑こんな感じです。 以下にファイルが3つあり、「h30-tokyo-3.pdf」「h30-tokyo-4.pdf」「h30-tokyo-5.pdf」となっています。 上から順番に...

現在R2,H30,H31年度分(計6問)を販売しています。

価格は一年度当たり1,980円です。

全てtexで作ったのでいくぶんか見やすいかと思います。

↓こんな感じ

全てご購入される場合、お得なマガジンもありますので是非チェックしてみてください!

ご購入はこちらから↓

R2~H30東京大学大学院地球惑星科学専攻の物理解答|いまぎし|note
R2~H30の東京大学大学院地球惑星科学専攻の物理過去問の解答を作りました。院試対策に役立ててください。
R2東京大学大学院地球惑星科学専攻の物理解答|いまぎし|note
R2東京大学大学院地球惑星科学専攻の専門科目の一つである、「物理」の解答です。 見やすくなるよう、全てTexで書きました。 ↑こんな感じです。 以下にファイルが3つあり、「R2-tokyo-3.pdf」「R2-tokyo-4.pdf」「R2-tokyo-5.pdf」となっています。 上から順番に第3問、...
H31東京大学大学院地球惑星科学専攻の物理解答|いまぎし|note
H31東京大学大学院地球惑星科学専攻の専門科目の一つである、「物理」の解答です。 見やすくなるよう、全てTexで書きました。 ↑こんな感じです。 以下にファイルが3つあり、「h31-tokyo-3.pdf」「h31-tokyo-4.pdf」「h31-tokyo-5.pdf」となっています。 上から順番に...
H30東京大学大学院地球惑星科学専攻の物理解答|いまぎし|note
H30東京大学大学院地球惑星科学専攻の専門科目の一つである、「物理」の解答です。 見やすくなるよう、全てTexで書きました。 ↑こんな感じです。 以下にファイルが3つあり、「h30-tokyo-3.pdf」「h30-tokyo-4.pdf」「h30-tokyo-5.pdf」となっています。 上から順番に...
タイトルとURLをコピーしました