【固体物理】体心立方格子・面心立方格子の消滅測をもとめてみた!!

物理

今回は固体物理で出てくる「消滅測」の計算をしていきたいと思います。

その中でも特に体心立方格子の消滅測

$$
h+k+l = 2n+1 (h,k,lは面指数、nは整数)
$$

と面心立方格子の消滅測

$$
h+k=2n+1 or\\
k+l=2n+1 or\\
l+h=2n+1
$$

を解説していきたいと思います。

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消滅測

結晶構造因子

消滅測は結晶構造因子

$$
F(hkl) = \sum_{i}f_i\exp(-2\pi i(hx+ky+lz))\tag{1}
$$

から導かれます。

このとき\(f_i\)は\(i\)番目の原子の原子散乱因子です。

これは原子の電子密度の分布を表しています。つまりその原子にどれだけ電子が詰まっているかを表しています。

また、\(x,y,z\)は\(i\)番目の原子の座標を表しています。

消滅測を考えるときは、この結晶構造因子が0のとき

$$
F(hkl) = 0
$$

の面指数\(hkl\)がどうなればよいかを考えます。

体心立方格子の消滅測

では体心立方格子の消滅測を導いてみましょう。

まず、体心立方格子の原子がどこに配置しているかを確認します。

原子の座標は

$$
(0,0,0),\left(\frac{1}{2},\frac{1}{2},\frac{1}{2}\right)\tag{2}
$$

となっています。(四隅と真ん中にあるので、この二つだけ考えればよいことになります。)

これらを(1)式に代入します。

すると

$$
\begin{eqnarray}
F(hkl)&=& f_1\exp(-2\pi i(0+0+0)) + f_2\exp\left(-2\pi i\left(h\frac{1}{2}+k\frac{1}{2}+l\frac{1}{2}\right)\right) \\
&=&f_1 + f_2\exp(-\pi i(h+k+l))
\end{eqnarray}
$$

今回は同じ元素の原子を考えるので\(f_1 = f_2 = f\)とします。

よって

$$
F(hkl) = f(1 +\exp(-\pi i(h+k+l)))
$$

となります。

このとき\(h+k+l\)はどのような値なら\(F(hkl) = 0\)になるでしょうか?

これは簡単で

$$
h+k+l = 2n+1\tag{3}
$$

すなわち奇数ならば、

$$
F(hkl) = f(1 + \underbrace{(-1)}_{e^{-i\pi(2n+1)}}) = 0
$$

となりますね。

よって(3)式が消滅測となります。

面心立方格子の消滅測

面心立方格子の消滅測も同様に求めることができます。

面心立方格子の原子の配置は

$$
(0,0,0), \left(\frac{1}{2},\frac{1}{2},0\right), \left(\frac{1}{2},0,\frac{1}{2}\right), \left(0,\frac{1}{2},\frac{1}{2}\right)
$$

なので、これを(1)式に代入すると

$$
\begin{eqnarray}
F(hkl)&=& f_1\exp(-2\pi i(0+0+0)) + f_2\exp\left(-2\pi i\left(h\frac{1}{2}+k\frac{1}{2}+0\right)\right)+ f_3\exp\left(-2\pi i\left(h\frac{1}{2}+0+l\frac{1}{2}\right)\right) + f_4\exp\left(-2\pi i\left(0+k\frac{1}{2}+l\frac{1}{2}\right)\right) \\
&=& f(1 + \exp(-\pi i(h+k) + \exp(-\pi i(h+l) + \exp(-\pi i(k+l) ))
\end{eqnarray}\tag{4}
$$

となります。(ここでも同じ元素の原子を扱っているので\(f_1=f_2=f_3=f_4=f\)としました。)

ここから、

$$
h+k = 2n+1\tag{5}
$$

という条件を考えてみましょう。

(4)式に代入すると

$$
\begin{eqnarray}
F(hkl) &=& f(1 +(-1) + \exp(-\pi i(2n+1-k+l) + \exp(-\pi i(k+l) )\\
&=& f(\exp(-\pi i l)(\exp(-\pi i(2n+1 -k))+\exp(\pi ik)))\\
&=& f( \exp(-\pi i l)(-\exp(-\pi ik)+\exp(\pi ik)) )\\
&=& 0
\end{eqnarray}
$$

ということが分かります。

ここで一行目では(5)式を変形して

$$
h=2n+1-k
$$

をhに代入しました。

同様にして

$$
k+l=2n+1\\
l+h=2n+1
$$

のときも

$$
F(hkl) = 0
$$

が成り立っています。

よって面心立方格子の消滅測は

$$
h+k=2n+1 or\\
k+l=2n+1 or\\
l+h=2n+1
$$

となります。

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