今回は「サイクロイドを運動する質点の単振動」を調べていきたいと思います。
サイクロイド曲線は面白い性質を持っていて、その中でも「等時性」について、みていきたい思います。
等時性とは今回の場合だと、サイクロイドに拘束されている質点の周期が初期位置(振幅)によらずいつも等しくなるといったものです。
今回の場合、運動の周期は
$$
T = 2\pi\sqrt{\frac{4a}{g}}
$$
となり、初期位置(振幅)によらず一定になっています。
では、具体的にどのようなものなのか見ていきましょう。
サイクロイドを運動する質点の単振動
下を凸にして対称な位置に置かれたサイクロイド曲線に拘束された、重さ\(m\)の質点の運動を考えます。

また、長さ\(2a\)、角度\(\theta\)を上図のようにして決めます。
サイクロイドの媒介変数表示
まず、 点Pの位置\((x,y)\)を決めたいと思います。
サイクロイドの媒介変数表示は
\begin{cases}
x = a(\phi + \sin\phi)\\
y = a(1-\cos\phi)
\end{cases}
と表されます。(\(\phi\) はサイクロイドを描く円の回転角)
また、\(\theta\)は接線の傾きなので
$$
\tan\theta = \frac{dy}{dx}
$$
が成り立ちます。
ここからチェーンルールより、
\begin{eqnarray}
\tan\theta &=& \frac{dy}{dx}\\
&=& \frac{\frac{dy}{d\phi}}{\frac{dx}{d\phi}}\\
&=& \frac{ \sin\phi }{ 1 + \cos\phi}\\
&=& \frac{2\sin\frac{\phi}{2}\cos\frac{\phi}{2}}{2\cos^2\frac{\phi}{2}}\\
&=& \tan\frac{\phi}{2}
\end{eqnarray}
が言えます。
よって、
$$
\theta = \frac{\phi}{2}
$$
となり、Pの座標\((x,y)\)は
$$
\begin{cases}
x = a(2\theta + \sin 2\theta)\\
y = a(1-\cos 2\theta)
\end{cases}
$$
とすることができます。
運動方程式
OPの距離を\(s\)とします。
この長さは
\begin{eqnarray}
s &=& \int \sqrt{(dx)^2 + (dy)^2}\\
&=& \int_{0}^{\theta} \sqrt{\left(\frac{dx}{d\theta}\right)^2 + \left(\frac{dy}{d\theta}\right)^2 }d\theta\\
&=& \int_{0}^{\theta} 4a\cos\theta d\theta \\
&=& 4a\sin\theta\tag{1}
\end{eqnarray}
となります。
よって、この方向の運動方程式は(1)式より
\begin{eqnarray}
m\frac{d^2s}{dt^2} &=& -mg\sin\theta\\
&=& -m\frac{g}{4a}s\tag{2}
\end{eqnarray}
となります。
これは単振動を表しますね。
周期
(2)式から、周期は
$$
T = 2\pi \sqrt{\frac{4a}{g}}
$$
と求めることができます。
この周期は初期位置の情報が含まれていません。
なので、サイクロイドのどの位置から単振動させても同じ周期で運動することが分かります。これを「等時性」と呼びます。