今回は「円筒コンデンサーに電流を流したときの抵抗値」を求めていきたいと思います。
電気伝導率が\(\sigma\)の物質を円筒に敷き詰め、そこに電流を流していきます。
そのときの単位長さあたりの抵抗値
$$
R = \frac{1}{2\pi\sigma}\log \frac{b}{a}
$$
を求めていきます。
円筒コンデンサーに電流を流したときの抵抗値
内側の半径\(a\),外側の半径\(b\)の円筒コンデンサーを考えます。
そしてその間に電気伝導度\(\sigma\)の物質を詰め、内側から電流\(I\)を流します。

このコンデンサーの長さは単位当たりのものを考えるので\(1\)とします。
方針
この問題を解くための方針は
- 電場の大きさ\(E\)を求める
- 電流密度 \(j = \sigma E\)をもとめ、積分することで\(I\)の値を求める
- 電位差を電場\(E\)から求める
- 2.3から、\(R\)を求める
という形でやっていきます。
電場の大きさを求める
ではガウスの法則より、電場の大きさを求めていきます。
コンデンサーに単位長さ当たり\(\lambda\)の電荷がたまっているとして、
半径\(r\)の円柱を考えると、\(a < r < b\)の電場は
$$
\int E dS = \frac{\lambda}{\epsilon_0}
$$
$$
E = \frac{\lambda}{2\pi r \epsilon_0}
$$
となります。
電流\(I\)の値を求める
電場\(E\)と電流密度\(j\)の間には
$$
j = \sigma E
$$
の関係があるので、これを面積分することによって電流の大きさ\(I\)が求まります。
(電流密度ですが体積積分ではありません。電流が貫いている面積\(2\pi r \times 1\)で積分します。)
\begin{eqnarray}
I &=& \int_{S}\sigma E dS\\
&=& \sigma \frac{\lambda}{\epsilon_0}
\end{eqnarray}
となります。
電位差を求める
\(a < r < b\)の電位差を求めます。
$$
E = \frac{\lambda}{2\pi r \epsilon_0}
$$
を積分すると
\begin{eqnarray}
V &=& -\int_{b}^{a} E dS\\
&=& \frac{\lambda}{2\pi \epsilon_0} \log \frac{b}{a}
\end{eqnarray}
となります。
\(V = RI\)から抵抗を求める
最後にオームの法則\(V = RI\)から抵抗値を求めます。
\begin{eqnarray}
R &=& \frac{V}{I}\\
&=& \frac{\lambda}{2\pi \epsilon_0} \log \frac{b}{a} \frac{\epsilon_0} { \sigma \lambda} \\
&=& \frac{1}{2\pi\sigma}\log \frac{b}{a}
\end{eqnarray}
となります。
これが 円筒コンデンサーに電流を流したときの抵抗値 になります。
参考
今回はこちらの本を参考にさせていただきました。ぜひチェックしてみてください。